あれから少し日が経った。しかし今だに元彼の気配が脳裏から消えることはない。

唯一の成果と言えば、1ヶ月半以上私の方から連絡はしていないことだ。元彼への執着を手放せなかったとしても、これは私にとって初めてのことだった。

連絡をしなければ私のことなんて忘れられてしまう、私なんてどうでもいいと思われてしまう。何がなんでも彼を繋ぎ止めておきたい。彼は気まぐれで滅多に話せないから、自分から連絡しなければ。そう思って連絡していた。

話したい気持ちがあって連絡もしていたけど、向こうが長時間通話に若干飽きるような態度をとったり、束縛されているように感じると言ってきた。

私も楽しい気持ちはあったが同時にヒヤヒヤしているところもあった。彼を楽しませられているか、私と一緒にいて彼は楽しいかなど・・・彼が少しでもテンションの低い態度をとってきたり、退屈そうな態度を取れば「私が連絡したから迷惑だったのでは」「私と一緒にいてつまらないのでは、本当は嫌われているのでは」と不安に。

自分でも彼の顔色を伺うなんて無意味だとわかっている。しかしやめられないのだ。

別に元彼から実際に何かを脅されているわけでもないのに、元彼といるだけでなぜか「自分の一番大事な弱みを握られている、人質に取られている」気分になる。

私が元彼に執着しているのは、彼が唯一の理解者で、甘えたい気持ちの強い、私の弱い部分を受け入れて宥めてくれた過去があるから。

私は誰にも弱みを見せられなかった。自分以外の誰も信用できなかったし、何かあれば他人は私に攻撃をしてくるものだと思っていた。表では「強い女性」「姉御」として慕われ、周囲からは「貴方は強いから大丈夫だよね」と扱われる。

でも、心の深い部分では誰かに甘えたい女性としての自分がいた。誰かにそれを受け入れて欲しかった。しかし身長が高く声も低い私に、可愛らしい女性のイメージは似合わない。何より自分は強くいたかった。あとそんな一面を友人たちに晒して、それを馬鹿にされたり否定されたらもう立ち直れないだろうと思った。

元彼以外にも他の男性と付き合ったりデートする機会はあった。しかし、誰も私の心の奥の部分まで見てくれなかった。表面的な浅い会話であったり、強くて頼もしい女性像に理想を抱かれてるだけ。

私のことを心の底から理解して、私の弱さを受け入れてくれるのは彼しかいない。そんな思い込みがあった。

でも私の弱さを受け入れるのは彼じゃない。私なんだよね。

こう割り切ってからは、彼に自分から連絡しなくても平静を保てるようになった。

話したくてたまらなくなったり寂しくなることはあっても、それを自分で受け止める練習をしたら昔のようにコントロールできずに衝動的に連絡することは無くなった。

少しずつだが変化はしてきているのだろう。これからも頑張っていきたい。